こんにちは。エム・エル・ピー株式会社の保坂でございます。2008年5月末よりおこなわれましたdrupa'08に行ってまいりました。4年前は「JDFdrupa」といわれたdrupaも今回は、「インクジェットdrupa」との前評判。どのように様変わりしたか楽しみな一方、VLF対応等など業界内注目の新技術を目にすることができました。ドイツ、オランダ、フランス等、欧州の印刷会社の現地リポートを中心に、ご報告させていただきたいと思います。
三菱の最新型枚葉印刷機、DIAMOND 306Wプレゼンテーションの模様。drupa'08三菱重工ブースにて。
国内、海外からたくさんのお客様に三菱ブースへお越しいただき、新型機への注目の高さが伺えました。
インクジェットdrupaとの前評判があった、drupa2008。枚葉機の動向にも注目しつつ、ヨーロッパにおける印刷の概要、業界の動向のついて各方面に話を伺いました。
ドイツのワーゲンやオランダのフィリップスがポーランドへ拠点を移すなど、東欧の労働賃金の安さが、コストメリットのひとつとして考えにあるとのご見解をお客様から伺えました。また、ドイツの印刷会社社長の談話で「日本は海で他国と遮断されるので良い。欧州は地続きで仕事等の流出をせき止めることができない」という話がありました。
小サイズやごく小規模の会社の細かい仕事は今後プリンターにとって変わる可能性が大きく、同時に低単価(賃金)に対抗するために大判で印刷していく傾向が強まるとの見解をお客様から伺えました。
欧州は過去から受け継いでいる独自の文化として、新聞にチラシを入れる事はなく、街中にポスターを貼る事も無いそうです。(広告できる広告塔が決まっているため。)その結果、自然と輪転機の需要は発行部数の多いフリーペーパー向きとなり、また、日本のように1万部程度のものは輪転機にかけることはなく、2万以下のものは枚葉機で印刷するのが現状とのことでした。
オランダのOffset Service社様前にて。
エッフェル塔を望んで。本当にすばらしい眺めですね。
明らかに日本と違うのは、欧州の印刷会社では印刷準備費用という枠組みが認められており、いわゆる「機械取り」をしたら、その費用は完全に発生するというシステムがあり、例えば印刷の前段階で遅れが出た場合、実印刷の際の準備費用と二重に費用が発生する事となる(勿論ネゴの余地はあるようです)との話しがありました。他の工程のしわ寄せを後に送らないようにすることの効率化に繋がると同時に、印刷会社の立場を守る方法としては有益であり、欧州では印刷会社の立場が確立されていることの証であると思われます。
一方、企業の方針を伺うと、「標準規格化、単純化、最大利用、他社に比して迅速、巧妙、安価」を目指しているとのことで日本の企業となんら変わらない見解であり、短納期、低コストを追いかけている点も似ていました。
今後も印刷に対するニーズの多様化が出てくるなか、印刷物に高付加価値(ニス加工、箔押し、フォイル他)に注力しつつ、即納に対応できるような体制をより求められているのは、日本も欧州も同じ状況であるように見受けられました。